銭湯と私の歴史

100か所以上の銭湯に行ったので振り返りたい。

 

最初に銭湯に行ったのはいつだったかはっきりしないが、地図上で見て東京には意外とたくさんあるということが気になっていた。それで市の銭湯を調べてみると私のいる市に銭湯が一軒しかないがそこは木の浴槽だと分かり自転車で行ってみた。お風呂がひとつあるだけなので洗って入ったら何をしたらいいか分からない。銭湯に来たのだからお風呂に入るのだろうと思って長く入っていたらふらふらになった。脱衣所を番台さんが見ているタイプだったのでふらふらなんとか着替えて外に出て、銭湯の前でしゃがみ込んだ。銭湯の何がいいのか分からなかった。分からなかったけど、思ったよりたくさんの銭湯がある。あるということは好きな人がいる。好きな人がいるのに私にその好きが分からないのは悔しいということで、めげずに隣の市の銭湯に行った。そこは高校野球好きの店主がTwitterをやっている銭湯で、露天岩風呂があった。それがよかったのだと思う。いろんな銭湯があるんだと気付いた。大学の先生が、最初に失敗したことの方が続くと言ったけど、そうかもなと思う。リベンジに成功してハマってしまった。近くにいくつかあると、水風呂があること、露天風呂があることを優先するけど、今ではひとつしかお風呂がないところでも行く。そこを味わうことができる。

 

-20℃の冬のシカゴから戻ってきたとき私の体は子宮内膜症になっていてホルモン剤に慣れるまでボロボロだった。一か月の内一週間は寝ていたし、駅までは行けそうだけどそこから戻ってこられるかが分からないという状態だった。急にバッテリー切れを起こしていた。体が強制的に私を眠らせにかかるのだ。そんな状態のとき銭湯は私の半分になってしまった体を徐々にひとつに戻してくれた。日本に銭湯があってよかった。シカゴに戻るときは銭湯を持っていきたい。アメリカ人は銭湯なしでどうしているんだと思った。満ち満ちて今では体がひとつ分よりはみ出るくらいで、銭湯で満タンにされると力があり余る。ありがとう銭湯。

 

銭湯の回数券をもらったこともあった。銭湯の回数券はモノポリーの券のようで非常に可愛い。これを一枚持っていれば、お風呂に入る前にお財布を出すという行為をしなくていい。銭湯にはまだまだキャッシュレス決済ができるところが少ない。回数券は誕生日プレゼントとして郵便で送られてきた。今までで一番いいプレゼントだと思った。この薄い封筒の中にこんなものが入るなんてすごい。封筒ってなんて可能性を秘めているんだろう。銭湯の回数券は、毎年6月1日に発売され、使用期限は翌年の6月30日だ。私の誕生日は5月なので毎週銭湯に行った。同じ銭湯には行かないのでたくさん歩いた。もう一度もらったのだが、そのときはもう少し余裕があり、どこかに出かけた際に近くに銭湯があれば行くという感じで使った。私が銭湯を知ったときは470円だった東京都の入浴料金も、一昨年480円に。このときはちょっとした変更だと思ったが昨年には500円になった。大台に乗った。回数券は9回分の料金で10回入れる価格になっている。

 

次回に続く。